NO026「読書していますか」

最近、本が読まれなくなったと言うが、本当だろうか?
 確かにかつてのようには、本が売れなくなった。出版業界の売上は年々大幅に減少しているし、携帯電話、インターネット、多チャンネル等、メディアが多様化し分散している以上、紙媒体でしかない本の需要が減るのも頷ける。本屋の数も年々減り続けているのも事実だ。出版点数が多いので売れない本が目立つ傍ら、偏ったベストセラーも出る。結局、みんな読んでいるから自分も読む、という層がベストセラーを読むからこういう現象になるのだろう。
 しかし「本が読まれなくなった」のと「本が売れなくなった」のは別問題のはずだ。その証拠にここ数年、大手古書チェーンは急速に拡大している上、県や市、区などの公立図書館も内容を充実してきている。通勤電車で図書館の本をよく見かけるようになった。若い女性、オジさん、学生、様々な人々が図書館を利用しているのを知って驚いている次第だ。つまり、本を「安く」又は「ただ」で読む層が増加して来ていると言うことではないだろうか。本を読む絶対数は変わっていないのではないか、と思う。
 私は二年ほど前に、あるアンケート結果を目にした。通勤電車内で読書している人の割合は約二三パーセント、携帯電話の普及にもかかわらず十年前と殆ど変わっていないということだった。また、電車内で漫画を含む週刊誌や新聞を読んでいる人間が減ったようにも思う。これは私の感覚でしかないので、事実と異なる場合がある。
 私の経験に照らし合わせてみても通勤電車で本を読む人の数はあまり変わっていない気がする。携帯電話でゲームやメールをする人ばかりが目立ってしまうが、彼らは携帯電話がなかった頃にも本を読んでいなかった連中ではないだろうか?
 社会人ならば、必要であるかないかを別にして、殆どの人間が携帯電話を持っている。そして大概の携帯電話はゲームやメールが出来、音楽を聞けてテレビも見る事が出来る。数年前まで通勤電車でボーっとしていた連中が、鞄にデフォルトで入っているこの電子機器を使って暇つぶししたとしても、少しも不思議ではない。  それにひきかえ、本が好きな人間はどんな状況であっても本を読むものだ。通勤電車はもちろん、駅の構内、ショッピングセンター、会社の昼休み、などなど、数え上げたらきりがない。
 私がそうだからと言うわけではないが、携帯電話がいくら楽しく、気軽で充実したコンテンツを持っていようと、読書家がこの電子機器に娯楽を完全にシフトさせることは少ないのではないか、と思っている。
初稿 二〇〇六年三月九日


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