NO067「ムアコックに魅せられてV〜コルム〜」

人間より長命なバドハー族であるコルムは、仲間、家族を人間達に殺され、最後のひとりになってしまう。人間のグランディスに捕まった彼は、拷問で右目と左手を失うが、なんとか逃げ延びる。その後、復讐に燃える彼は種としての人間を憎悪しながらも、人間の女性を愛するようになり、魔術師にリンの目とクウィルの手を移植される。
その見返りに混沌の神であるアリオッチとその兄、姉(いずれもエルリックに登場)を倒すハメになる。前半三巻はコルムと混沌の神々との戦い。このリンの目とクウィルの手のおぞましい魔力の見せ場がよい。冥界に魔物を封じ込め、それを呼び出して敵と戦わせ、新しく倒した相手を再び冥界に封じ込め、最初の魔物は解放されるというシステムを取っている。
後半の三巻はそれから千年後の物語で全くの別物。再び人間の女性を愛してしまったため、戦うこととなったコルムの話である。今度は神のなれの果てである七人のフォイ・ミョーア達相手の戦いである。リンの目とクウィルの手を失ったコルムは、自分で作った銀の義手を付けて戦う。右目と左手というのは、人気ファンタジー漫画「ベルセルク」でのガッツと同じである。
コルムの性格は優柔不断。人間を憎みながらも人間を愛するという逆説的な存在でもある。全然、英雄っぽくない人間が、英雄として生きなければならない悲劇をうまく表現している。
初稿 二〇〇六年三月三一日


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