シリーズ・トレーニング(テクニック)

シリーズ・トレーニング(テクニック)

シリーズ・トレーニング(テクニック)

終わるはずだった本シリーズも、絶好調の快進撃を続けている。ルーカスのエッセイは読み難い、ジャンルが偏っている、くどい、など好評を博している今回はテクニック。テクニシャンの称号を得るためにしっかり読んでおこう。
トレーニングを始めたとき、どの本にも書かれているのは十回三セット、というものではないだろうか。筋肉は丈夫なので、十回で限界を迎えてもちょっと休憩すればまた十回出来るものだ。これは考えてみると当たり前で、石器時代、獲物を追いかけて全速力で走り(無酸素運動)筋肉が疲労した後、歩けなくなってしまえば死んでしまう。
筋肉には限界があるが、そのかなり手前に心理的限界が存在するわけだ。火事場のクソ力などはその限界を超えてしまった場合で、凄まじい怪力が出るが、歩けなくなるほどの疲労が伴う。
この精神的限界を超えるために数々のトレーニングテクニックが存在する。
まず、@フォースドレップ。これは別の人に補助についてもらって、強制的(フォースド)にレップをこなすこと。例えばベンチプレスで九回出来て十回目が半分で止まってしまった時、人差し指で押してもらうだけで最後までこなせる。プレス系の種目で有効であるが、応用範囲は大きい。
Aパーシャルレップはひとりで行えるテクニック。例えばベントロウで限界を向かえ、半分までしか引けなくなってもそこで止めず、次レップでも四分の一くらいしか上がらなくてもやってしまう。大概の種目で可能だが、プル系などフォースドレップができない種目で有効。
Bチーティングは、うまくやらないと無意味になるテクニックだ。バーベルカールをやっていると半分の地点で止まってしまうことがある。これは肘を軸にして、てこの原理で一番高重量になる部分なので、ここだけを突破できればもっと筋肉を追い込めるわけだ。そこで反動を使い、スティッキングポイントを通過させるというもの。カール系や、サイドレイズなどに有効だ。
Cディセンディングセットはピン式のマシンでやると効果が高い。レッグプレスを一五〇キロで限界までやり、すぐにピンを替えて一二〇キロでやり、最後は九〇キロでやる。下げる重量は二〇から三〇パーセントがいいが、個人差があるので回数で見極めるといい。合計レップ数が多いこともあり、バーンは強烈できつい。バーベルでプレートを外していったり、ダンベルをいくつか用意すれば、どんな種目にも応用できる。一セットでも、事実上三、四セットを連発で行うので、その種目が終わったら同じ部位にディセンディングセットを行わないこと。
Dコンパウンドセットはディセンディングセットのアレンジだ。ショルダープレスをやり、限界までやったらサイドレイズをやる。複合種目をやってから単一種目をやるというテクニックで、この場合は三角筋中部が強烈にバーンする。
E予備疲労法は他と趣が違う。やることはコンパウンドセットの逆で、レッグエクステンションをやってからスクワットをやる、というもの。この場合は先に大腿四頭筋を疲労させ、複合種目で脚全体をバーンさせる。これが必要な状況というのは、スクワットをしても大腿四頭筋が疲労するより先にハムストリングが疲労してしまう場合などだ。または、スクワットしたいが百キロまでしかウェイトがない、などの場合に行うのも良いし、怪我を防ぐために少ない重量で効果を上げたいときに有効だ。
どのテクニックも、決して毎回使うものではない。たまに使うからこそ効果が出る。疲労も大きいので、栄養と休養はいつもより一層気をつける必要がある。
初稿 二〇〇八年四月二日


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