スポーツクラブには妙な人間達が巣くっている。スタッフを除き、さらに私が使うトレーニングエリアだけで見ても、相当数に上る。会員は常に新陳代謝しているので、過去にも数々の妙な人達が存在していたが、間違いなく消えていく。今回はその中でも、現在の人に絞って見てみよう。
まずは、いつジムに行っても必ず居る「青髭のジョガー」。私は平日に二、三回、不定期でしかジムには行かないが、青髭がいつ行っても居る。土日でも居る。髭の濃い小柄の黒縁眼鏡のジョガーだ。
なにやら試合にも出ているらしい。とにかく暇で、いつも誰かを見つけて話している。ストレッチやストレッチボールで変なことをしているが、意味が分からん。トレッドミルでダシン、ダシンと音を立てて走っているので煩くて仕方がない。外を走ればいいじゃん、と思うのだが、それでは会話が出来ない?
スタッフにも偉そうにぶっているが、ちょっと避けられているようだ。そもそも仕事をしているのか? 土日の昼間にたまたま、私がジムに行くと……居る。夜に行っても居る。ずっとジムにい居るのか、お前は? 道端をリュックサックを背負って、中山方面からてくてく歩いているのを見かけたことがあるので、ちょっと遠くに住んでいると思われる。会員暦もけっこう長い。
ジムしか社会との接点が無いのかもしれない。会社では(働いているとして、だが)誰もまともに話してくれないのかもしれない。若い女性会員に強引に話しかけていたこともあり、煙たがれていた。苦笑。
いつでもジムに居るのと、話してばっかりいることから察すると「彼女」は居ないものと思われる。それどころか童貞であることは間違いない。少なくても一般童貞だ。こういうタイプに共通の、飲み会があると妙に張り切っている。キモい。
「読売タオラー」は読売新聞のオレンジタオルを持参しているオッサン。ちなみにこのタオル、ぺらぺらなので我が家では便所につるされている。私よりは年上だろうか? 「青髭ジョガー」「木久蔵」ともよく、だらだらとしゃべっていて、機器を占有する。子供がたくさんいて野球好き、みたいなタイプ。単純明快、車好きタイプだろう。
「木久蔵」は、息子に名前を譲った先代、林家木久蔵、つまり笑点で黄色い着物を着ている男に似ていることから、このネーミングがついた。ぴっちりした服を着ており、皺だらけの顔の、丸刈り君。キモいオッサンだ。これも「彼女」が居るとは思えない。居るとすればデブだな、きっと。働いてはいそうだ。
「とんがりコーン」はとんがったハゲ頭のオヤジ。ボクシング風の動きがあるが、ボクサーではないのではないだろうか? 真冬でもランニング姿のまま、外でタバコを吸う。女性にやたらと話しかける癖があり、禿げ頭もあいまってスケベ丸出し。入ったばかりの若い女性が辞めるのは、このスケベ親父のせいであろう。エアロビ派だ。
道端でグローブとボールを持っているのを目撃しているので、野球オヤジだろう。
かくいう私も、高重量のトレーニングをして三十分足らずで帰ってしまうので、陰で何を言われているか分かったものではない。誰とも一言も話さないし、目も合わせない。時代遅れの縞々パンツ、時代遅れのリキッドで撫でつけた上、ヘルメットでつぶれた髪。何年着ているか分からないほど古く、穴の開いたシャツ。ぼろぼろの靴。皮製のマイベルト。水を入れたペットボトル……充分変な人だ。
まあ、私の主義として、トレーニングのトの字も知らないような、レベルの低いスタッフと話しても意味はないし、会員と話しても無駄。何よりも時間がもったいない。ジムを社交の場だと思って来ている人間とは口を利く気はない。もちろん若い女性は別だが、それでも話すことはまずない。
勘違いしないで欲しいのは、ジムを社交の場にしていけないといっているのではない。機器やストレッチゾーンなどを占有して、くっちゃべるな、と言っているに過ぎない。空気を読め! ロビーで話せ。ロッカーで話せ。
しかし、四月も下旬に差し掛かったが、今年は会員があまり増えない。ティップネス降臨を待つグループか?
初稿 二〇〇八年四月二二日
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