とっても綺麗好きなハンディモップくん。
けれど、ご主人様は掃除が面倒くさくて嫌い。
アパートに一人暮らしのご主人様の部屋は、散らかりっぱなし。
その上、朝も起きれないので、出し損ねたゴミが玄関横に溜まっている。
そんなご主人様とモップくんは、長い付き合いだ。

「ゴミも、そろそろ捨てないとなぁ〜」
このセリフも口癖になってきているご主人様。
掃除をしたときに一気に片付けようと思うのは、掃除嫌いによくあるパターンで、結局、捨てもせず・・・。
「なんだかなぁ〜」
ため息を漏らしながら、自分の体をコシコシと拭くモップくん。
(ぼくは、汚れたって洗えば何度でも使えるし、まさか活躍の機会がないまま終わらないよね?)
とても心配なモップくん。

そんな生活が健康に良いはずもなく。
「ゴホッ、ゴホッ!」
ご主人様は、最近、よく咳をしている。
窓から西日の差し込む部屋は、キラキラと埃が舞っている。

(ご主人様は、具合が悪そう・・)
「ぼくを使ってよ。綺麗になるから・・」
カタカタと体を揺すって音を立て、アピールするモップくんだが、そんなことに気づく様子もないご主人様。

最近、ご主人様の咳は、ひどくなってきたし、頭も痛いようだ。
そんなご主人様が心配で、毎日、アピールを続けるモップくん。

埃でくすんだ部屋の一部に日差しが反射してキラッと光る。
気づいたご主人様は、モップくんを持ち上げて見る。
毎日、自分の体と手の届く周りを磨いていたモップくん。
その周辺は、ピカピカしていてとても綺麗。
全体に埃の積もっている場所は、同じ色なのであまり目立たないが、一箇所だけ綺麗だと汚れている場所がとても目立つ。

咳の原因に思い至った、ご主人様。
ものは試しで、体調が良くなればと、掃除を始める。

ご主人様のいい加減な掃除ぶりにやきもきしながら、フォローするモップくん。
「あっ、隅っこに埃が残ってる・・・」
几帳面なモップ君は、気になって仕方がない。
ご主人様が拭くときに、すばやく体をサッと伸ばしてモップの先で隅まで綺麗にするモップくん。

「一年ぶりに片付いたな」
満足げなご主人様。
「さて、風呂でも入いるか」
着替えを持って、サッサッと部屋から出て行くご主人様。
「あれっ?オーイ、ぼくも洗ってよー!」
一抹の不安が残る、モップくんである。

それからのご主人様は、埃が体に良くないと分かったのか、モップくんと一緒に掃除をするようになった。
簡単にササッで終わりだし、ゴミは相変わらず溜まっているが、ご主人様は、満足げである。
「なんだかなぁ〜」
いつも通り、ため息を漏らしながら、自分の体をコシコシと拭くモップくん。

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