第一章 「胸、肩、そして上腕三頭筋」1−8
インクラインベンチをちょっと倒し、少し浅い傾斜にする。少しバリエーションをつけるためにプレスとフライで角度を変えているからだ。再び、ダンベルをハの字にセッティングする。スタートポジションはさっきと同じだ。
ダンベルを持ってベンチに腰掛け、レップを開始する。プレス系とは違った強烈な刺激が胸に掛かる。ちょうど外側に引っ張られるような感覚だ。あっという間に十二レップを終える。疲れはするが、高重量ではないので息はさほど上がらない。
そして最後のフライ種目であるフラットダンベルフライ。これはインクラインベンチを倒して平らにして行う。これも二十五キロダンベルを使い、十レップ。強烈なパンプを胸に感じながらベンチ系種目を終了する。
ここまでで胸はぱんぱんに膨らんでいるが、まだ足りない。更にディップスを行う。これは平行棒に腕をかけて立ち、体を上下させるというもの。結果的に胸の筋肉で体を持ち上げることになる。大胸筋下部や小胸筋に有効な種目で、上腕三頭筋への負担も大きい。十キロのクロームメッキダンベルをひとつ持ち、ディップスの機器の前に立つ。ダンベルをぶら下げる専用のチェーンなど、このジムにはないので、自前のウェイトベルトにダンベルを挟んで負荷とする。この方法だと、これ以上大きいダンベルは挟めないので十キロで我慢するしかない。
足を組み、体を深く沈み込ませ、沈みきったところで勢いよく腕を伸ばす。レップごとに胸の筋肉が焼け付いたように痛みを発する。沈み込ませるときに得る強烈なストレッチに顔をしかめながら、なんとか十四レップを終える。これでやっと胸のトレーニングを終了する。
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