第二章 「背中及び上腕二頭筋」2−1
背中のトレーニングの日は、朝から楽しみであると共に憂鬱だ。デッドリフトのことを思うと気が滅入ってしまう。あの……重い重いバーベルを持ち上げなければならないのか、と思うと心底ぞっとする。そのくせ、気持ちよく力が発揮できて記録が更新されれば、この上なく嬉しくなるのも事実だ。
私は中学の頃に跳び箱で腰を痛めたため、冬になるたびに腰痛に悩まされていた。しだいに冬だけはなくなり、年中腰痛に苦しんだ。じっと椅子に座っているだけでも辛く、常にもぞもぞしていた。
背中は筋力が弱く、当時、背筋力は百二十キロ程度しかなかった。平均的といえばそれまでだが、他の部位が強力になっているので、腰だけの弱さが際立つ。
「これじゃいけない、腰を鍛えなきゃ」と思い一念発起、五十キロからはじめたデッドリフトが、二年後には百三十キロを超える重量でレップをこなせるようになっていた。弱点だった部分が、いつしか自分にとって最高の部位へと変化していたわけだ。腰痛、肩凝りともオサラバ。ついでに冷え性も改善出来たようだ。
努力とは楽しい。労力に見合っているとは限らないが、必ず何がしかの結果が返ってきてくれる。これだからトレーニングは止められない。
さて、本日は背中のトレーニング日で、その後に上腕二頭筋もやる。それと私は、僧坊筋や三角筋後部も背中の日にやることにしているので、他よりも種目が多くなる日だ。
黒のランニングに、紫と灰色、黒のストライプのトレーニングパンツと格好で今日はトレーニングをこなす。
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