アイソメトリック・トレーニング

アイソメトリックトレーニング

ここではアイソメトリックトレーニングを紹介します。
日本には古くから「のれんに腕押し」という言葉がありますが、のれんではなく、 壁を「グッ」と10秒間押してみれば、筋肉がパンパンになるのが実感できるはずです。 他人から見れば、同じポーズで止まっているようにしか見えませんが、 動かない壁を力いっぱい押すことで、ちゃっかり筋肉を使っているのです。 これがアイソメトリックトレーニングなのです。
ちょっと違いますが、壁に背中を当てて脚を曲げて踏ん張る「空気椅子」別名「電気椅子」も アイソメトリックトレーニングに近い原理です。 分かりやすく言うと「止まったまま筋肉を使う」のがアイソメトリックトレーニングなのです。 高負荷にできないため、強烈な筋肉痛になることもあまりなく、メニューに組み込みやすいのが特徴です。 ただし、長時間やれば筋肉痛になります。
アイソメトリックトレーニングの取り組み方としては10秒間、力を入れて1セット。 これを2~3セット行なってください。片側ずつの種目は左右で1セットずつを2セット、合計4セット行ないましょう。
アイソメトリックトレーニングに慣れてきたらセット数を増やすか、力を入れる時間を段階的に20秒くらいまで上げましょう。 時間を延ばすことで、筋肉への負荷を上げることができます。
また、力を入れながら筋肉の可動方向へ動かすと負荷がぐんっ、と上がりますので試してみてください。 以下に代表的なアイソメトリックの種目を上げますので、参考にしてください。
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アイソメトリック理論

アイソメトリック……あまり聞きなれない言葉ですが、頭の片隅に残っていませんか?
その昔、ブルワーカーXOというトレーニング機器がバカ売れしたことがあります。 ブルワーカーは「押す」「引く」両方の負荷が可能で、アイディア次第で数多くのエクササイズが可能になるという、 自宅用のトレーニング機器にしては、かなりの優れものでした。
ブルワーカーは、この手のトレーニング機器が皆そうであるように、バッタものが大量に出まわったので、 ブルワーカーもどきも含め、押入や物置、ベッドの下などに眠らせている人も多いことでしょう……。
このブルワーカーのよりどころとなるトレーニング法がアイソメトリックなのです。



アイソメトリックトレーニングの利点

アイソメトリックトレーニングの利点は、なによりタダ(無料)で出来ることです。 もちろん、ブルワーカーなどの機器を使えば、トレーニング効果は高くなりますが、 何も使わずとも、又はタオルやロープ、壁、柱だけでも、 アイソメトリックトレーニングは、かなりの効果が期待できます。 女性、男性、年齢を問わず、効果的な筋肉トレーニングが可能なのです。
それともうひとつ、アイソメトリックトレーニングには大きな利点があります。 私は以前にスノーボードで両肩を痛めており、高重量でのショルダープレスが行なえない状態です。 サイドレイズやフロントレイズで肩を鍛えていますが、それでも痛みがあります。 しかし、下記に示す肩のアイソメトリックトレーニングでは、痛みはほとんどありません。 アイソメトリックトレーニングは、関節を動かすことなく筋肉に負荷を与えるトレーニングなので、 関節に問題を抱えているトレーニーに、大いに役立ちます。
ただし、関節の痛みにも色々あるので、アイソメトリックトレーニングは自己責任で行なってください。 場合によっては、医師に相談することも必要です。



大胸筋のアイソメトリック

大胸筋


いわゆる「合掌」といわれるアイソメトリックトレーニングです。 胸の前で合わせた手に「グッ」と力を入れます。手の間に雑誌などを挟み、 ペシャンコにするつもりで行なうと、うまくいきます。
力を入れながら、ちょっとだけ左右に動かすと、強度が増します。 腕の高さを上げれば胸筋上部に、下げれば胸筋下部に刺激が移ります。 また、合わせた手を前の方に移動させるのも、効果があります。
このアイソメトリックトレーニングでは、胸の筋肉と三角筋の前部を鍛える効果があります。 腕立て伏せやベンチプレスの後にやると、すごく効きます。



広背筋のアイソメトリック

広背筋


これも「合掌」なのですが、力の方向が胸の場合と逆になります。 組んだ手を引っ張り合い、背中の筋肉を鍛えるアイソメトリックトレーニングです。 両手首に手錠を掛けられていると想像しながら「引きちぎってやる」つもりで引っ張ります。
力を入れながら、ちょっとだけ左右や前に動かすと、強度が増します。
このアイソメトリックトレーニングでは、広背筋と三角筋後部を鍛える効果があります。
部屋トレなどで背中を鍛えられない場合、この種目を組込むとよいでしょう。



広背筋のアイソメトリック

広背筋


腕を後ろに引こうとするのを、反対の手で肘を掴んで動けなくするアイソメトリックトレーニングです。 合掌よりも大きな負荷が加えられるのが特徴です。左右交互に行います。
このアイソメトリックトレーニングでは、広背筋と三角筋後部を鍛える効果があります。

三角筋のアイソメトリック

三角筋


三角筋は前部、側部(中部)、後部の3つの筋肉から構成されています。 このため、よく発達した三角筋はみっつに割れたバナナの房に例えられます。
これは肘を脇から肩と平行になるまで上げようとする動きを止める動作となります。
このアイソメトリックトレーニングでは、三角筋側部を集中的に鍛えます。



上腕二頭筋・上腕三頭筋のアイソメトリック

上腕二頭筋・上腕三頭筋


上腕を鍛えるアイソメトリックトレーニングで、主に上腕二頭筋(力こぶ)を鍛えます。 ベースとなる腕を、掌を上向きになるようにし、反対の腕で押さえつけます。 腕に力を入れ「力こぶ」が出るようにします。 反対側の腕も腕を伸ばそうとする動作を行なうので、上腕三頭筋(馬の蹄に似ています)が鍛えられます。 慣れてきたら、力を入れながらゆっくりと腕を曲げる動作を加えます。 ほどよくパンプアップするので、おすすめです。 ダンベルカールをしているイメージを浮かべながら行なうと効果的なアイソメトリックトレーニングです。 アイソメトリックトレーニングとはいえ、筋肉を動かすことでより立体的な筋トレが可能になります。
また、上腕二頭筋をもっと鍛えたい場合は、手首やもっと肘寄りの前腕を押さえつければ、負荷が増します。 逆に言えば、抑える側の上腕三頭筋が楽になる、ということです。



脚のアイソメトリック


上半身に特に有効なアイソメトリックトレーニングですが、もちろん下半身も出来ます。 まず、椅子に座り、両足を伸ばします。 右脚を上、左足を下にして伸ばした脚で脚を組みます。 右脚を踵側に力を入れ、左足は爪先側に力を入れます。 これで伸ばした脚のアイソメトリックトレーニングが可能になります。 椅子に座っている最中なら、いつでもできるアイソメトリックトレーニングです。 ちょっと不自然ですが、電車内でも可能です。 脚が外れると大惨事になるので、気をつけましょう。
しかし、脚に関しては、スクワットという簡単な筋トレがあるので、それだけでも効果は充分です。 アイソメトリックトレーニングをするならスクワットをしてからの方がいいでしょう。 アイソメトリックトレーニングの仕組みがわかっていれば、カーフのトレーニングも思いつくのですが、 ちょっと現実的ではありません。
機器を使ったトレーニング方法もあります。 アイソメトリックトレーニング用には、鉄の棒を2本、端と端を鎖でつないだ機器があります。 鎖は120センチくらいで、調整可能。 分かりやすく言うと、ヌンチャクの反対側も鎖でつないだ感じですね。それの大きいやつ。 片方の棒を両足で踏み、もう片方の棒を肩にかついで、 120センチだとスクワットのボトムポジションになりますが、そこでひたすら踏ん張る。 というクールなアイソメトリックトレーニングも存在します。 そんな特殊な装備よりも、バーベルスクワットの方がいいと思うのですが。。。
また、上記にある空気椅子、電気椅子という、 ほとんど小学生の罰ゲームのような筋トレも存在します。 あまりお勧めはしませんが、かなり効きます。 とはいえ、大人のすることではありません。 だって空気椅子をしている時間があれば、何回もスクワットすればいいでしょう?



筋肉に力を入れるだけのアイソメトリック


アイソメトリックトレーニングは筋肉の動きを、逆方向からの同じ力で封じることにより 効果を発揮しますが、最初から筋肉の動きを止めて力を入れてしまう方法もあります。 これはボディビル大会でのポージングのようなもので、筋肉自体に力を入れます。 慣れれば、全身の筋肉をくまなくバラバラにコントロールできるようになります。
ボディビルでは全身の筋肉に力を入れますが、アイソメトリックトレーニングでは、局部の筋肉のみを使います。 例えば、胸だったら、上記の合掌を行い、おもむろに左手だけ外して、右の胸は力を入れたままにします。 ここで、左手を使い、右の胸の筋肉を触りまくります。 ナルシシストっぽいですが、これが大事です。
これにより、 どれくらい硬く筋肉が収縮しているのか? 皮下脂肪がどれくらいあるのか? など、たちどころに分かります。 また、胸の内側、つまり谷間の部分ですが、ここはなかなか筋トレしにくい部分なのですが、 左手で触りながら右胸に力を入れれば、それも筋トレになります。
こういった、筋肉を直接触ることによって意識を集中する方法は非常に有効で、 慣れてくれば、筋肉を直接触らなくても、充分に意識できるようになります。 こういったことは、地味ですが、非常に簡単で重要ですので、 腕や肩、腹、脚なども、どんどん自分で触りながら筋トレしましょう。 これならば筋肉に力を入れるだけで、どこででも出来てしまいますので、手間いらずです。
筋肉を自分の目で見て、力を入れ、触っていると、テストステロンが出るのでしょう。 いい意味で興奮します。 私は良く筋肉を叩いたりもします。



ストレッチしながらアイソメトリック


筋トレはもちろん、運動をしている人ならば、ストレッチは念入りに行っていることでしょう。 とくに冬場は運動前のストレッチが欠かせません。 真冬の公園でのサーキットトレーニングなど、ストレッチなしでは自殺行為です。
ただし、最近の研究では、運動前にストレッチをすると、筋肉が先に疲労してしまい、最大筋力が発揮できないようです。 なので、バーベルベンチプレスの前に胸のストレッチをし過ぎると、うまくパワーがでません。 ドリアン・イェーツ氏は、細い木の棒を使ってストレッチしていました。いい考えです。
たしかに、ストレッチは筋肉を引っ張る行為ですので、筋肉が疲労してしまいます。 だからこそウォーミングアップになるのです。 実際、旅行などでトレーニングできないときは、ストレッチをすると筋肉の萎縮を抑えられることが分かっています。 つまり、ストレッチも広い意味で筋トレのひとつなんですね。
さて、ここで紹介するのは、ストレッチをするときに、そのまま筋肉に力を入れてしまうという、 アイソメトリックトレーニング効果のあるストレッチです。 まあ、簡単に言えば、上記で説明したように、ストレッチ中に対象の筋肉に力を入れてしまうという事です。 これはトレーニング前ではなく、トレーニング後に行うと効果的です。 少なからず、筋トレの補完になりますから。 ただし、筋肉がさらに疲労するので、クールダウンとしてのストレッチの効果は消えてしまいます。 けっこう、疲れますし。。。
なので、筋トレしない日などに、部屋でストレッチだけしようというときなどに、 アイソメトリックトレーニングっぽいストレッチもやるといいでしょう。 もちろん、オフィスで息抜きにストレッチするときにアイソメトリックトレーニングっぽいストレッチをするもよし。 普通にアイソメトリックトレーニングするのも大歓迎です。
もっとも、筋肉に力を入れるだけなら、電車の中でも出来ます。 吊革や手すりを全力で掴めば、それだけで筋トレになりますし、 アイソメトリックトレーニングさながらに、腕に力を入れ続けるのもひとつの手です。 ちょっとぶら下がり気味に腕に力を入れるというのも面白いです。 もちろん、足が浮いちゃダメですよ。



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