たんぱく質同化

たんぱく質同化


たんぱく質同化作用

筋肉はトレーニングによって破壊され、回復することにより前回よりも大きくなるわけですが、 この破壊を異化(カタボリック)、回復を同化(アナボリック)といいます。
同じトレーニングをするにしても、異化を少なくし、同化を効率的に行えば、筋肉はより大きくなるわけです。 以前、アナボリックステロイドはアナボリック(同化)とうたっているのに、 実は異化を抑える作用(アンチカタボリック)があるので、 筋肉が大きくなるという記事を読みました。ややこしい。
年々、様々な研究結果が発表され、ネット上で見ることが出来るようになりました。 トレーニングの効果を上げようと、効果的なトレーニング法、器具、ルーチン、栄養やサプリメント、 そしてアナボリックステロイドなどの筋肉増強剤について、トレーニーは誠に勉強熱心です。
そんななか、たんぱく質同化について、色々な記事を読む機会があったので、まとめてみたいと思います。 ただ、ここに書いてあることは、私の見解なので、すべてを鵜呑みにせず、 ご自身で調べてから行うことを勧めます。 とくにアナボリックステロイド等の薬物を使った場合は、常識が通用しませんので、 ここで述べる方法論も超越してしまうことがあります。
※参考:ハロフルオックスで細マッチョ



たんぱく質同化からみたプロテイン

いくつかの実験を見ていくと、トレーニング後24時間に、充分なたんぱく質を取ること、 そして3時間ごとに取ることが最もたんぱく質同化を促進することがわかります。 ただ、区切りの観点から24時間となっているだけで、本当は何時間なのかわかりません。 個人差もあるでしょうし、72時間との説もありますが、これも3日という区切りでしかありません。
具体的には、トレーニング後の3回の食事、および間食が重要になります。 常にたんぱく質を摂取しないと同化は行われません。 たんぱく質が足りないと異化に傾いてしまうからです。 減量中は栄養が足りず、常に異化の状態なので、筋肉を増やすのは難しい(無理)です。
トレーニングをしている者にとって最も重要なサプリメントが、プロテインでしょう。 そのプロテインの種類も重要で、トレーニング直後には吸収の速いホエイプロテインを飲むのがベストです。 トレーニング前や、トレーニング最中はエネルギー源となるBCAAも重要です。 必須アミノ酸EAAやグルタミン、クレアチン、HMBなどは、実験では出てきませんので省きます。
ソイプロテインとホエイプロテインでは、摂取から数時間後の同化の効果まで違っていたのは驚きです。 もちろんホエイの方が吸収が速いのですが、栄養面までは不明です。 ソイには抗消炎作用があるなど、別の効果もあるからです。
また、長い時間軸で見ると、同化作用が逆転しますので、 トレーニング後6時間、何も食べないのであればソイプロテインの方が効果が高くなります。 カゼインはさらによい。 個人的には、腹が張り、やたら屁が出るので、ソイプロテインは嫌いです。
それと水への溶け具合も全く異なります。 以下は、マイプロテイン製品の話になります。 約26gのプロテインを、ホエイは水150ccで充分溶けますが、ソイは300ccでもドロドロで飲みにくい。 カゼインはその中間。150ccでも飲めるが、泡立ちが多い。 結果的に、水分の摂取量が変わってしまうし、飲む回数が多いので、味がマズいと拷問です。
睡眠中は3時間ごとに栄養補給できず、エネルギーが枯渇するので異化に傾いてしまいます。 そこで寝る前に、ゆっくり吸収されるカゼインプロテインがベストになります。 しかも、20gでは効果が全くなく、なんと水を飲んだ場合と一緒なのです(実験では)。 効果があるのは、40g以上摂取の場合なのです。 でも、寝る前に40gのプロテインは、かなりお腹がいっぱいですね。 しかも、同化の効果は、3割くらいしか上がりません。 腹いっぱい飲んでも、やらないよりまし、くらいなのです。
しかも、これは夕方にトレーニングした場合などに当てはまり、早朝にトレーニングした場合、 既に寝るころには、3回の食事と数回の間食を経ている(はず)ので、 就寝前にプロテインを飲む必要がない(または効果が出ない)とのこと。
毎回の食事でとる、たんぱく質の量も20gがベストで、それ以上だと頭打ちであることが分かりますが、 これにも実は年齢が関係しています。 細かいことは省きますが、年齢と体格でたんぱく質摂取量のベストが変わり、 20歳なら20gでいいのですが、40歳で体重70Kgくらいだと、27gになります。 年齢と共に、摂取したたんぱく質の吸収ロスが増えるわけですね。



たんぱく質同化からみたトレーニング強度

偉大なボディビルダー、ドリアン・イェーツの登場以来、高強度トレーニングが見直され、 海外では、バケモノのようなビルダーが一気に増えましたが、たんぱく質同化の観点から見ると、 高強度が必ずしもベストとはいえません。 高強度で短時間というのは一つの答えではあります。
最大筋力の60%以上のトレーニングでは、たんぱく質同化で見る限り、効果が頭打ちになります。 また、1セットでやるよりも3セットの方が効果が高く、また限界まで行う方が効果が高いことが分かります。 効果が高いといってもせいぜい2~3割ですので、 3倍のセット数をやって、2割増しで納得できるかは個人差があるでしょう。 1セットだけやって、翌日に疲れを残さない、という考え方もあります。 それならば、毎日だってトレーニングが出来てしまいます。
低い強度、重量でも限界まで行えれば、効果は高いことになりますので、 腕立て伏せ100回でも問題ないわけです。 一番効率がいいのは60%くらいの強度であり、最もたんぱく質同化は促進されます。
もっとも、ドリアンなら90%の重量でも限界以上まで自分を追い込めるのでしょうが、 通常のトレーニーはやはり、10回3セット程度がベストになります。 ちなみに筋力の伸びは、高強度、低回数のトレーニングの方が効果があります。 また、トレーニング経験の、あり、なしが結果を左右するようです。 経験者の方が、より限界近くまで追い込めるからです。
ちなみに私の場合、胸では、ディップ20回、すぐに腕立て伏せを20回というのを、 間を開けた(走るので)3セットのサーキットトレーニングで行い、 その後に腕立て伏せ40回、30回、30回、30回、20回~数セットなど、かなり変則的です。 高回数なのでパンプはハンパないのですが、刺激が上腕メインになってしまいます。



たんぱく質同化とアルコール

お酒は人類の友であり、数千年も前から飲まれているものです。 アルコールはストレスを低減させ、気分を高揚させてくれます。 リミッターが外れるので、あまりよくないです。「まあ、いいかあ」が増えます。 ですが、たんぱく質同化の観点からいえば、アルコールは、相性が悪いことになります。
結果から言うと、アルコールはたんぱく質同化を阻害するようです。しかも男性だけ。 毎日トレーニングし、3時間ごとに栄養を取り、睡眠を8時間とっているのに、 アルコールを飲んでしまってはたんぱく質同化の効果が激減(3割減?)してしまうのです。
これを知ったことは、毎日お酒を飲んでいた私にとって絶望的なことでした。 でも潔く、毎日の晩酌はすっぱり辞めました。 少なくても平日はお酒を飲まず、BCAAをチビチビ飲んでます。 さすがに飲み会に行けば、お酒は飲むけど、回数は稀です。 あれほどおいしかったお酒が、美味しく感じません。逆に入浴剤ぽくて不味かったBCAAがうまいです。
お酒を飲むと眠くなるので、寝つきは良くなるのですが、睡眠の質が落ちるといわれています。 たしかに寝付きにくくなりましたが、トイレが増えました。 摂取する水分は減っているのですが、腎臓がフル稼働している気がします。 アルコール分解に使われていたエネルギーが血液洗浄に使われているような感じです。 あくまで私見です。



たんぱく質同化を最大限生かしたトレーニング

結局のところ、どういうスケジュールでトレーニングと栄養に臨めばいいのか、それは各個人の生活スタイルにもよるでしょう。 ひとつの例として、私の平日の生活を上げます。
05:40 起床
06:00 朝食 少量のご飯、納豆、味噌汁など。経口テストステロン40mg、経皮テストステロン5mg
 通勤
08:20 間食 プロテインクッキー(ホエイ38g)。経皮テストステロン5mg
11:50 昼食 ふすまパン、にぼし、コーンポタージュ。経皮テストステロン5mg
15:30 間食 プロテインクッキー(ホエイ38g)。経皮テストステロン5mg
 通勤
18:15 夕食 豚肉、野菜、味噌汁など
18:40 50分間のトレーニング&ランニング BCAA10gドリンク
19:30 間食 ホエイプロテイン25g
 風呂など。アルコールは飲まず、BCAAを飲む。
21:10 間食 ミルクプロテイン25g
21:40 就寝

トレーニングのメニューは、 脚の場合、ジャンプスクワット30回、ウォーキングランジ20歩、カーフレイズ30回、 腹筋30回、ランニング600m。 を3セットやり、あとはシシースクワットやったり、シャドウなど臨機応変。 上半身はもっと複雑ですが同じく45分程度。 これを交互に毎日やる。
このプログラムはたんぱく質同化のことを知る前から変わっていません。 独自の知識で組み立てたものです。
注意深くプログラムを見ていくと、3度の食事が6時間ごとにあり、睡眠時間を8時間とっていることが分かります。 そして、食事と食事の間3時間毎に、プロテインスナックにより21~38gのたんぱく質を取っています。 朝食におけるたんぱく質の摂取量は10g、昼は30g、夜は30~50gといったところです。
トレーニングは、炭水化物なしの夕食10分後。トレーニング後は、家に帰ってすぐにホエイプロテイン摂取。 アルコールを飲まずにBCAAを飲みながら、ゆっくりし、寝る前にミルクプロテインを飲んでいます。
上記結果からすると、ミルクプロテインは40g飲まなければいけませんが、お腹いっぱいなので無理です。 寝る時間が早いので、トレーニング後の栄養摂取が2時間未満に集中してしまっています。 成長ホルモンを充分な量、出すために22時前に寝て、8時間バッチリ休養しています。 トレーニングは低負荷、高回数になりますが、かなりハードです。 懸垂とディップスは低負荷ではないです。 ランニングはジョギング程度なので、心肺機能はあまり負荷をかけていません。
たんぱく質同化の観点から言うと、朝食が貧弱。 間食のプロテインスナックは、ホエイプロテイン(ドリンク)にした方が(安い)いいのですが、 会社なのでスナックで代用。それにスナックは美味しいおやつです。
夕食後すぐのトレーニングですが、これは弊害ないです。食い過ぎるとキツいので、腹7分目くらいしか食えません。 トレーニング後のプロテインは、夕食後1時間なので間隔が短いですが、胃袋に負担は感じないです。 総論としては、相対的にベストに近いプログラムだと思います。
休日は朝食後にトレーニング&ランニングで、間食もホエイプロテインになります。 朝から夕方までで食事と間食でベストを尽くし、ランニングやサイクリング、シャドーなどを突発で行います。 また夜には、酒を飲みに行ってしまったりするし、寝る前にプロテインも飲みません。 キャンプにもよく行きますが、その場合はプロテインスナックを食べ、酒も飲むし、やや睡眠不足ですね。



筋肉量と寿命

まず、結論です。統計的に見て、筋肉が多い方が長生きです。
トレーニングを週に2~3回やっている人は、やっていない人より、がんで死ぬ確率が33%減ります。 また、がん以外のすべての病気での死亡率も23%減ります。 週5回以上のトレーニングだと、頭打ちになるので、トレーニングし過ぎは効率が悪いようです。
日本人は40歳ころから筋肉が減り、80歳までに男性で10%以上、女性で6%以上の筋肉が減ります。 特に男性の腕の筋肉は12%以上が減ってしまう。
日本人女性の平均寿命は90歳くらいですが、各年代で筋肉量を測ると、 90歳代の女性は下腿(カーフ)の筋肉量が多いことが分かりました。 これは90代になると、みんなカーフレイズしまくってる(?)からではなく、 カーフが大きい人が平均寿命以上に長生きで、生き残っているから、統計的にそうなったのです。 ただ、これは女性の話で、男性は腹筋や体幹の筋肉量が多い方が長命だそうです。 なんか、納得のいく話ではあります。 よく歩く人は、カーフの筋肉があるでしょうし、体幹に筋肉がないと起き上がれないから。
40歳を過ぎると内臓脂肪が増えますが、79歳の時点で、男性は42%、女性も64%も脂肪が増えるそうです。 老化に対して何もしない人、つまり、筋肉が減って少なくなり、脂肪が多くなってしまった人は、ずばり短命なのです。 筋肉が減って脂肪が増えることは、老化そのもの、とさえいえます。
統計的に、筋肉が大きく、脂肪が少ない人が、一番長生きです。 筋肉が多く、脂肪が多い人が、次に長生きで、その次は筋肉も脂肪も少ない人。 筋肉が少なく、脂肪が多い人が最も短命です。 つまり、脂肪を落とすより、筋肉を多くつける方に重点を置いた方が、寿命は長くなるわけです。
さらに、トレーニングのみ、有酸素運動のみ、両方の3つのグループでは、両方やったグループがもっとも たんぱく質同化結果が良い。 ジムトレ、家トレも効果は変わらず、これも、両方でやる方が、最も良い結果が出ています。 これらの結果は、両方やっている人の方が、健康に関する意識が高いからではないでしょうか? ジムで筋トレし、有酸素運動もする、その上家でも筋トレする人は、食事も睡眠も気をつけているはずです。
40歳以上、いや、それ以前から、どのように毎日を過ごすべきか、見えてきましたね。 もちろん、健康で長生きしたい人の場合です。 たんぱく質を多めに取りつつ、週2~3回のトレーニングをし、出来ればランニングなどで脂肪を落とせれば最高です。 必ずしもジムに行く必要はなく、家や公園でトレーニングしても効果は変わりません。 ※ここでいう効果とは筋肥大の事ではなく、健康寿命に対してです。



たんぱく質同化とBCAAとロイシン

BCAAは分岐鎖アミノ酸で、ロイシン、イソロイシン、バリンという3つのアミノ酸のことです。 BCAAは世界中でサプリメントが大量に出回っていて、比率が2:1:1というものが多いです。 つまりロイシンが半分入っているということですが、マイプロテイン製では、4:1:1というのも見かけます。 それだけロイシンが重要なんですね。
BCAAを充分にとっていると筋肉痛を治す効果があるようです。 ただし、低~中程度までの筋肉痛が対象で、強度の筋肉痛には効きません。 さらに筋肉痛になってからBCAAを取るのではなく、数日前からとらないといけません。
HMBというのを最近よく耳にしますが、これはロイシンの代謝物のことです。 代謝とは肝臓で分解され、血液に溶け込むことです。 HMBのうたい文句にはプロテインの20倍(何が?)などと書かれています。
このBCAAの中核アミノ酸であるロイシンですが、 ホエイ20gの場合よりも、ホエイ6gとロイシン2gを取った場合の方が、たんぱく質同化が良好な結果が出ています。 これがプロテインの20倍~の根拠なのでしょうが、そこまで効果は高くないハズです。 とはいえ、例えばホエイ20gと同時にロイシン5gを取れば、たんぱく質同化の効果はもっと高そうです。 ちなみにプロテインの中にもロイシンは含まれてます。アミノ酸なので。
単体のロイシンのサプリメントも存在しますが、わざわざ摂取するのも面倒ですし、HMBもけっこう高価です。 そこで私が行っているのが、BCAA飲料の常時摂取です。 トレーニング前、トレーニング中にBCAA飲料を飲み、トレーニング後にホエイ21gを水で飲んでいますが、 その後も、BCAA飲料をちびちび飲んでいます。 1日にBCAAを合計で15g程度を水1リットルで飲んでいる計算です。
休日など、水分はほとんど、BCAAとコーヒーで補充するくらいです。 BCAAにブドウ糖やクエン酸を入れ、そこそこ美味しいドリンクなので、飲み続けています。 これにより、筋肉痛の緩和はもとより、エネルギーとアミノ酸が常に補充され、ロイシンもたっぷり補給できています。 たんぱく質同化にもいい影響が予想されます。 1リットル当たり3~40円の飲料なので、非常に安いドリンクになります。



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