筋トレのセットとレップ

最良のセットとレップは自分で探すしかない

「さあ、トレーニングを始めよう」と思っても 「何回やれば良いのか?」、「何セットやれば良いの?」 と悩んでしまっては先に進めません。 そこで、代表的なセットの組み方を解説してみたいと思います。
ここでいうレップとは1回1回の動作のこと。 10レップは10回やる、という意味。 10回やりきる、といった方がいいのかな。 2回以上は複数形でいうため、本当はレップスといいますが、レップで使うことが多いです。 10レップ3セット、といえば、 10回やって30秒休み、10回やって30秒休み、10回やって終わり、という意味になります。 もちろん、休憩時間は臨機応変に。 また、必ずしも毎回10レップ出来ないこともあるでしょう。
まずは1セット10レップで結構。人それぞれベストのレップ数は違うし、 部位によっても違うので、とりあえず10レップでやっていき、修正を加えながら進めると良い。



セットとレップの実践

例えば私の場合、ベンチプレスは9レップ、デッドリフトは8レップ、スクワットは10レップ、 というように、微妙に対象の筋肉に効くレップ数が違います。
これとは別に、筋力アップには低レップ、筋量アップには中レップ、スタミナアップには高レップが利きます。 これはどういうことかというと、ベンチプレスで胸の筋量アップを狙っているので、基本は100Kg9レップですが、 1ヵ月間だけ筋力アップを狙って110Kg5レップにする。 こうすると1ヶ月後に、うまくすると105Kgで8レップくらいできるようになるので、 たまに、こうやってトレーニングをすると、筋肉も増えやすくなる。
いわばショック療法的な使い方ですね。同じことをずっとやっていると飽きますので。 でも、常にショック療法をやっていてはダメです。 もちろん、パワーリフターやウェイトリフターは低レップが基本ですし、1レップ、 2レップしか挙がらない重量でもトレーニングをします。
逆に中距離走やジョギング、山登りなどをやっている人は、25レップ以上の高レップで鍛えると効果が高くなります。
セットとレップの各方法について、以下のようにランク付けを行っておりますので、参考にしてください。
難易度:★(簡単)~★★★★★(難しい)まで
効果 :★(少なめ)~★★★★★(高い)まで



ストレートセット

難易度:★★
効果 :★★

もっともポピュラーなセットで「30キロで10レップ3セット」というのがこれ。 30キロで10レップやって30秒休み、10レップやって30秒休み、10レップやって終わり、という意味になります。 ただ、ここでいう10レップとは、あくまで目標値であり、各セットでのレップは変わるはずです。
例えば10、8、7レップといった感じになると思います。 10レップを基準とする場合、1セット目で12レップ出来たのなら、次回から重量を上げます。 この場合だと32.5キロにします。種目によっては35キロでも良いと思います。

こうすると次回は恐らく、8、7、6レップくらいになりますので、再び1セット目で12レップを目指します。 ここで問題となるのは、あくまで1セット目で何レップ出来るか、だということです。 2セット目以降は追い込むためのオマケ(しかし重要)でしかありません。
一説によると、3セットやったときを100%とした場合、1セット目だけでも70%の効果があります。 つまり、2、3セット目をやっても、30%の割増効果しかないわけです。 3倍(+2セット)苦しい思いをして、1.5倍程度の効果しか出ないわけです。 ちなみに2セットだと85%程度です。
なので、理想としては、いずれ「1セット法」に移行したいところです。



同回数セット

難易度:★
効果 :★★

ストレートセットよりもこちらの方が初心者向きだと思います。 「30キロで10レップ3セット」といってしまうとストレートセットと変わらないのですが、 重量を上げるときの条件が違います。
このセット方法では、例え12レップ出来たとしても10レップまでしかやりません。 つまりどういうことかというと、この場合、10、10、9レップといった感じになるかと思いますが、 3セットとも10レップ出来るようになったら重量を上げます。 すると、9、8、7レップ、といった具合になるでしょう。 そのうち、10、9、8レップといったようにパワーが上がっていきますが、 例え11レップ以上出来ても最終セット以外ではやりません。
ストレートセットは1セット目で限界を目指し、2、3セット目も頑張る、というコンセプトですが、 同回数セットでは、1、2セットは10レップでやめ、3セット目は限界まで、といった考え方です。 ストレートセットだと1セット目と2セット目でレップ数が極端に違ってしまう人の場合などに便利です。



ピラミッド法

難易度:★★★
効果 :★★★

セットごとに重量を上げていき、トップまで来たら今度は下げていく方法。 当然、重量が重いセットではレップ数が減ります。 ベンチプレスを例にあげると、50キロ10レップ、70キロ10レップ、90キロ8レップ、 100キロ6レップ、90キロ8レップ、70キロ10レップ、といったところ。 上りの50、70、90はウォーミングアップなので10レップで止めるが、下りは限界までやること。
100キロのセットでフォースドレップを行なうと効果的。 ただし、このセット方法はベンチ(ベンチプレスの)を長時間占有し、迷惑になるので、私はおすすめしません。 差ピンタイプのマシンで行いましょう。



1セット法

難易度:★★★★
効果 :★★★★

トレーニングを続けていると、ベンチプレスで1セット目100Kg10レップできるのに、 2セット目は5レップしか出来ないという状態になることがあります。 1セット目で精神を集中し、一気に限界に到達するからです。 こうなってくると、2セット目、3セット目をやる必然性が消滅しますので、いっそのことやめてしまおう、 という考え方が生まれます。 そうするとベンチプレスが1セットしかできなくなるので、さらに集中力が増して限界に到達しやすくなります。
さらにこの1セットにフォースドレップなどの高強度テクニックを行なえば完璧です。 もちろん、ウォーミングアップは別ですので、この場合50キロ、70キロ、90キロで充分に胸筋を温めます。 1セット法は強度が高く、ベンチの占有時間も少なくなるので、おすすめです。



高強度インターバルセット

難易度:★
効果 :★★★

筋量・筋力を得るためというよりも、スタミナや瞬発力を得る目的に使うセット方法です。 自重が中心で、回数や時間で区切り、その間にできるだけ早くレップをこなします。
心肺に高い負荷のかかる方法であり、減量にも非常に効果が高い。
例えば、
腕立て伏せを20秒間、出来るだけレップ数を多くやる。
ジャンピングスクワット20レップを出来るだけ早くやる。
など。

HIITと呼ばれるトレーニング法で、サーキットトレーニングに組み込むと効果が高くなります。 ジムではなく、公園や体育館で行うとよいでしょう。
究極のサーキットトレーニングである、タバタ式トレーニングだと、1セットが20秒になるようにやります。 休憩は10秒で、続けて8種目やります。 もちろん数周やってもいいわけですが、きついです。

最新のサーキットトレーニングについてはこちら → 減量サーキットトレーニング



たんぱく質同化から見たセットとレップ

セットとレップをトレーニングの観点から見るのではなく、たんぱく質同化の観点から見てみましょう。 たんぱく質同化とは筋肉を作る作用で、異化は筋肉を壊す作用です。 普段、体重は同じなので、我々の身体は何も起こってないと思いがちですが、 人間の体内では異化と同化が常に行われています。 それが、筋トレをすることにより、同化に傾くわけです。 当然、無理なダイエットなどで栄養が少ないと異化に傾きます。 当然、運動不足でも異化になります。
そこで、セットとレップの実験が行われ、数時間後のたんぱく質同化を測定しているので紹介します。 実験の結果、疲労困憊までレップをしなければ、たんぱく質同化作用が促進されませんでした。 あたりまえですね。 軽い重量で、適当にレップをやっていても、日常生活と変わりませんので、筋肉は増えません。 また、1セットよりも、2セット、3セットの方が効果が高くなります。 単純にレップの量が2~3倍になるので効果が高くなるのは当たり前なのですが、 3セットやっても効果は3倍にはなりません。 3セットやったときを100%とした場合、1セットだけでも70%以上の効果があります。 つまり、1/3のレップ量でも効果は70%もあるのです。 これは重要です。 しかし、レップは少ないので、運動量が少なく、消費カロリーは1/3です。
使用重量ですが、最大筋力1~60%までは順調にたんぱく質同化効率が上がりますが、それ以上はプラトーになります。 結論から言うと、重さ自体による効果に違いはありません。 70、80、90%の重量で疲労困憊までレップをやっても、 60%でレップをこなしても何も変わらない、ということです。 全力でレップをやれば、ですよ。
レップ数ですが、40~70回までは、回数が上がれば上がっただけ効果が高くなるのですが、 それ以上のレップ数だと効果が下がってしまいます。 つまり、レップは多くやれば多くやっただけ効果は高いが、71回以上は逆効果となります。 実験の範囲が1~40レップ、41~70レップ、それ以上という分け方だったのですが、 必ずしも70レップまではOKという意味ではないと思われます。 やはり、常識的に考えて、1セットは50レップくらいまでにしたいところです。
ここで述べられているのは、あくまで、たんぱく質同化から見た話ですが、 意外にも高レップ数の方が効果があるのですね。 速筋を鍛えるか、遅筋を鍛えるか、という問題もありますが、たんぱく質同化からいえば、 当然、両方鍛えろ、ということになるからでしょう。 破壊される筋肉が多ければ、再生も多いですから、同化作用も多くなるのが道理です。
結果をまとめると、最大筋力60%以下の重量で50レップ以下を3セット、限界まで行えば、 たんぱく質同化の観点からはベストな筋トレになります。 50レップやろうと思えば、おそらく自重程度になるかと思います。 ベンチプレスなら、プッシュアップですね。
高強度低レップを2~3セットと、最後に高レップ1セットといった方法の方が現実的かもしれません。 ウエイトトレーニングでいえば、ベンチプレス高強度低レップ3セット、 フライ高強度低レップ3セット、ペックデッキフライ低強度高レップ1~2セット などでもいいと思います。
もちろん、70,80,90%の重量を低レップで限界まで行ってもかまいませんが、 たんぱく質同化から見るとベストではない、ということです。速筋しか使わないからでしょうか。 そもそも限界%の高い重量は、それなりの経験者でなくては充分に扱えません。
実験参加者は、筋トレの初心者でした。 経験者による高強度テクニックを駆使した1セット法が、 高レップの3セット法よりも劣っているとは到底、考えられませんので、 私見では経験や感覚を大事にするべきだとも感じています。 そういった意味では、自重のプッシュアップ50レップやジャンプスクワット50レップは、いいトレーニングだと思います。
また、大きな筋肉を作るには高重量のウエイトトレーニングこそが一番の近道だと思います。 ストリートや公園でいくら筋トレしても、ウエイトトレーニングで鍛えたボディビルダーのようにはなりませんが、 アナボリックステロイドの違いかもしれませんし、なんともいえないです。 瞬発力やスタミナなどでは、クロスフィット選手の方があきらかに勝っています。 ナチュラルのボディビル大会での選手は、クロスフィット選手と筋肉量が同レベルに見えます。



長生きとセット

40~80歳の対象者に筋トレをしてもらい、筋力、レップ数などを記録。 5年後に追跡調査した実験では、男性の10%、女性の6%が死亡していました。
そして、筋トレを続けている人の方が、生き残っている確率が高いことがわかりました。 しかし、最も高重量で筋トレしている人は死んでしまっていたので、 必ずしも”全身全霊で筋トレやればよい”というわけではないようです。 ガンガンにやったら寿命が縮むのは当然です。 アナボリックステロイドや成長ホルモンを使用している、往年の薬物プロビルダー達は、 実際にバンバン死んでいます。しかも、なぜか亡くなるのは40代後半が多いです。 皆、心肥大や心停止、臓器不全です。
総合的に見て、週2~3回、6~8レップ程度で限界の来る重量でのウエイトトレーニングを 3セット行うのがベストという事に落ち着きました。 筋肉の分割ルーティンなどは不明です。 この場合のインターバルの長さや、筋トレ実施日の設定は不明ですが、 インターバルは1~3分、筋トレは一日おき、と考えるのが自然です。
これらの結果は、たんぱく質同化から見た場合とも一致しますので、 筋トレする場合のひとつの指針となるでしょう。 ただし、すべての人間が、長生きのために筋トレをしているわけではないでしょうから、 それぞれの目的によって頻度、レップが違うのは当然です。 それに環境にもよります。 全員がジムで筋トレしているわけではありません。
部屋トレというやり方もありますが、ジムでのウエイトトレーニングとの併用が長生きにつながることも分っています。 まあ、ジムでも家でも筋トレする人は、健康意識が高い人ですから、 ジャンキーフードもあまり食わないだろうし、意欲もあり、長続きもするでしょう。
また、筋トレだけでなく、ランニングもする人の方が長生きなのも分っています。 結局、ジムでも家でも筋トレして、ランニングもする人が一番長生きです。 なんか、思ったとおりの、あたりまえの結果ですね。 運動しろってことです。
筋肉は多い方が長命であり、筋肉を増やす筋トレをしていた人が長生きだった。 という結果です。 40代以降は筋肉の維持を心がけながら、食事制限して肥満にならず、 ランニングをすることをおすすめします。



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