ネガティブレップトレーニング

ネガティブレップ

いつ頃からでしょうか? ポジティブ、ネガティブという言葉をよく耳にします。 前向きなポジティブに対し、後ろ向きなネガティブはマイナスイメージがつきまといます。 サラリーマンはポジティブな性格でないと会社から評価されませんし、ろくな転職先も見つからない時代です。 ネガティブ思考だと、周りに嫌われますし、家族にも愛想をつかされます。 常に上向きに飛んでいれば、程度の違いはあれど右肩上がりだろう、 という安易な考えが世の中には蔓延しているようです。

かくいう私はというと……決してポジティブではありません。 かといって、ネガティブでは決してありません。 どういうことかというとアンチネガティブなのです。
衰え、低下を異常なまでに嫌い、そこから遠ざかるために上昇せざるを得ないという考え方で、 結果的にはポジティブにしか見えないという生き方です。
私がトレーニングをし続けているのも不健康でありたくない・よわっちい男でいたくないという理由が大きいのです。

まあ、それはそれとして、トレーニングにおけるネガティブ(ネガティブレップトレーニング)の考え方について話をすすめますと、 ポジティブ=挙上、ネガティブ=挙下といったところでしょうか。
ベンチプレスでいえば、胸のすぐ上にあるバーベルを「うりゃあ」と挙げるのがポジティブ・レップ。
「ふう、あがったぞ、さあ、下げるか」というのがネガティブ・レップです。
普通は挙げて下げる一連の動作をレップといいますが、ネガティブ・レップは特別に分けて呼びます。
誰であれ、トレーニング経験があれば理解できると思いますが、ネガティブレップは力が緩く済みます。 これを数値で表すと、100キロしか挙げられない人でも、潰れるのを覚悟でゆっくり下げるだけならば、 120キロでもコントロール可能なのです。 なにしろネガティブレップでは、挙げなくていいのですから。

かつて、ジムにて筋トレ不足の一般人が、180kgをかついでスクワットすると言い出し、立ったまでは良かったが、 膝をちょっと曲げただけで、崩れ折れてしまいました。 そうです、180kgくらい一般人でも担げるけど、動けないんですよ。 もちろん、持ち上げるなんて、もってのほかですが、150kgくらいならバーベルを担いだまま、ゆっくりしゃがめると思います。 これはもう、スクワットのネガティブレップですね。
つまり、ネガティブ操作の方が、ポジティブより高重量を扱える、というわけです。 これがネガティブレップ、ネガティブトレーニングの正体です。 ネガティブレップトレーニングは、決してネガティブなトレーニングではないのです!
意味わかりますか? 分からない人はポジティブに考えましょう!

他のトレーニングテクニックについては以下を参照してください。
トレーニングテクニック
ストリートワークアウト

ネガティブレップトレーニングの例

さて、意味不明なネガティブ雑談はおいておいて、ネガティブレップトレーニングの話に戻ります。
上ではベンチプレスを例にあげてネガティブレップトレーニングを説明しましたが、 限界までやってから補助者にバーベルを挙げてもらい、なおかつ1レップやったら、 また挙げてもらうというのは極めて(補助者に)迷惑な話です。 たまにならいいですが、あまり多用できないし、そんな思いバーベル持ち上げるなんて、怪我をする可能性も高いです。
例えネガティブレップトレーニングとはいえ、パートナーに愛想をつかされる恐れすらあります……。

ネガティブレップトレーニングに向いているのは、実はスタック式のマシンです。 スタック式のマシンは重量を設定するときにピンを差し込むのですが、 そのピンを掴んで補助者に上に挙げてもらうとネガティブレップトレーニングがやりやすいのです。 これはこれでちょっと危ないのですが……手を挟みそうで。

Mrオリンピアのドリアン・イェーツは、ラットプレスの際に、専用の長いピンを使っていましたね。 ネガティブレップトレーニングがしやすいようにピンを刺しますが、重量設定のピンとは別の穴に刺すのです。 つまりマシンには、ピンが2本刺さっている。 パートナーがピンを掴んで引っ張り上げるのですが、これは非常に効果的です。
これは、マシンによるフォースドレップにも応用できます。 錘が上がっていくときに、補助者がピンを持って持ち上げるのを手伝えば、フォースドレップになります。
実際に私が行なっていたネガティブレップトレーニングを紹介します。 これは補助者なしで行なっていましたが、どういうことかというと、 スタック式のマシンベンチプレス(別名:チェストプレス)だったのですが、 たまたま自分の脚で押せるという、補助機能がついていました。
マシンなので怪我するはずもなく、何のためにコレがあるのか不明ですが、 これ(脚)を使ってネガティブレップトレーニングをこなしていたわけです。

ベンチプレス、インクラインダンベルプレス、フライなどで胸を鍛えた後、マシンベンチに座り、 最大重量の100キロにします。(実際は10キロダンベルを乗せていたので110キロです。本当はダメ)
既に胸が疲労しているので、マシンベンチでは5レップくらいしか挙がりません。
それを6レップ目で脚をちょっと足して挙げ(フォースドレップ)、7レップ目もフォースドレップで挙げる。

さすがにもう挙がらないので、8レップ目は両脚をフル稼働で無理やり挙げ、腕を張ったトップポジションから、 出来るだけゆっくりと下げます。 これがネガティブレップトレーニングです。
ここがポイントです。ゆっくりです、ゆっくり、ゆっく~り。 ネガティブレップでは、筋肉の痛みを味わうむためにゆっくり下げます……。 かなり苦しいレップになります。
まあ、自分ではゆっくりのつもりでも、ネガティブレップでは、かなり早く下がってしまいます。 9レップ目もネガティブレップでやりますが、ほとんど「ストン」とボトムポジションに戻ってしまいます。

いろいろと高強度トレーニングテクニックは存在しますが、私の経験した中では、 ネガティブレップトレーニングが一番キツイ方法だと断言できます。 もっとも、この例ではフォースドレップの後にネガティブレップトレーニングをやってますので、 凄くキツイのはあたりまえです。 また、このようにマシンで、そしてひとりでも、高強度テクニックを複数種類使って、筋肉を追い込むこともできるということです。
なんか、いつもの筋トレでは満足できなくなったハードなトレーニーに、 ネガティブレップを激しくお勧めします。
ここだけの話、ネガティブレップトレーニングは効きます。



ストリートワークアウトでネガティブレップトレーニング

ここ数年間、私は公園での筋トレが中心ですので、 ストリートワークアウトでネガティブレップトレーニングの利用方法も解説します。
プッシュアップでは不可能なのですが、逆にジャンプしてプッシュアップするといった、 別の高強度トレーニング法がありますので、試してみてください。 各種目にはそれぞれ、向いた高強度トレーニングの方法があるのです。
懸垂で体が上がらなくなったら、通常はもうそれでおしまいですが、 チーティング(反動)でうまくすれば上まで体を持って行くことができます。 ただし、私の経験上、反動だけだと厳しいです。 一番上まで体(顎)が上がらない可能性が高い。
そこで、鉄棒の支柱に足をかけ、靴底のゴムで蹴り上げることで、一気に上まで体を持って行けます。 また、低い鉄棒を使っている場合は、そこ(地面)に立てばいいわけで簡単ですよね。
足が地面についているなら、脚でジャンプするという手もあります。 とにかく、腕が曲がった状態で、顔が鉄棒の上にある状態になっていればいい。 そのための手段は選びません。 ジムだと、パートナーに手伝ってもらう以外の選択肢はほぼないです。
さあ、今のトップポジションから出来るだけゆっくりと体を下げれば、 ほら、ネガティブレップトレーニングになります。 ゆっくりですよ、ゆっくり、ゆっくり。
ディップスの場合は、もっと簡単です。 限界レップまで達したら、一度地面に降りて、ジャンプすればいいだけです。 腕が伸びた状態でトップポジションになればOKです。 そして腕の伸び切った状態から、じっくりと時間をかけて体を下げていけばいい。 まるで熱湯風呂に入るような心もちで、ゆっくり、ゆっくり、身体を下げます。 これは、自重の筋トレでは非常に強度の高いネガティブレップトレーニングになります。
これら2つのエクササイズは、ジムでも大概は出来ますので、試してみてください。 懸垂もディップスも出来ないようなジムは、替えた方がいいです。。。



胸のネガティブレップトレーニング

バーベルベンチプレスやマシンベンチプレスのネガティブレップの例は挙げましたが、 他にもあります。
ダンベルフライ系です。 これはフラットでも出来ますが、補助者の立場から言うと、 インクラインダンベルフライの方がやりやすいでしょう。 頭の上側に補助者がしゃがんでいて、トレーニーの限界と同時に肘を押してあげます。 これだとフォースドレップですが、トップポジションからゆっくり下げればいいのです。 これはダンベルフライでもほぼ同じ動きです。
ペッキデッキフライ、マシンフライでも出来ますが、補助者が立つのは、トレーニーの正面です。 手か、マシンを持って引っ張ってあげれば、同じことができます。 もちろん、スタック式のマシンでしょうから、ピンを使ってもいいです。



背中のネガティブレップトレーニング

懸垂の話が出ましたが、ラットプルマシンでやれば動作は同じです。 それとロープーリーですね。
どちらも、スタック式のマシンでしょうから、パートナーにピンを引いて持ち上げてもらえば ネガティブレップトレーニングになります。



腕のネガティブレップトレーニング

ダンベルカールならば簡単にネガティブレップトレーニングが行えます。 コンセントレーションカールで限界まで達したら、反対の腕でダンベルを上に持ってくればいいのです。 実際はフォースドレップでトップポジションに持ってきてから、そのままネガティブレップでいいです。 オルタネイト種目はネガティブレップトレーニングに向いています。
同じく上腕三頭筋もネガティブレップトレーニングできます。 ライイングトレイセップのオルタネイトならばネガティブレップトレーニングができます。 他にもワンハンドケーブルトライセップなどもネガティブレップに向いています。
パートナーがいる場合は、バーベルカールで正面に立ってもらい、動きが止まったらフォースドレップして、 ネガティブレップですね。 他にも、ケーブルトライセップなどのマシンで、ピンを持ってもらいましょう。



肩のネガティブレップトレーニング

肩のネガティブレップトレーニングは結構難しいです。 バーベルショルダープレスやダンベルショルダープレス、サイドレイズなどで行うのが妥当でしょう。 ただし、限界までレップをやってから、チーティングでトップポジションにします。 実際はスクワットのような動作で、無理やり挙げます。 もはや、あからさまな反動ですね。
パートナーがいるなら、ケーブルマシンなどでのショルダープレスがやりやすいでしょう。



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